ハーゲン・ポアズイユ流れ
円管中を流れる定常な層流はナビエ・ストークスの方程式により厳密解が求まる数少ない流れ場の1つです。
この流れ場は、ハーゲン・ポアズイユ流れとして知られています。ナビエ・ストークスの方程式を解いて厳密解を求めてみたいと思います。
fig1.円管中を流れる定常流 |
fig.1に示す半径R、長さLの円管中をx軸方向に流れる流れ場を考えます。
流れ場の条件は非圧縮、定常、層流であるとします。
ナビエ・ストークスの方程式(x成分)は、
(1)
定常状態での流れはx成分のみでx方向の位置によらず、y、z成分は0とします。
つまり、 とします。
これらを(1)式に代入し整理すると、
(2)
ここで円柱座標 を導入し を書き換えると、
(3)
流れはx方向のみでθ方向の成分は とします。
(2)式に(3)式を代入し整理すると
(4)
( はそれぞれ、 のみに依存するので、 を に書き換えました。)
以下の境界条件の下で微分方程式(4)を解いてやります。
・・・円の中心でuが最大 (5)
・・・壁近傍でuは0 (6)
先ずは、(4)式の両辺をrで積分します。
(7)
境界条件(5)より、 です。
(7)式の両辺をrで割ると、
(8)
(8)式を更にrで積分します。
(9)
境界条件(6)より、
(10)
よって、 (11)
定常状態に置ける円管内の一様な流れ場では圧力勾配は一定となるので、円管の入り口と出口の圧力をそれぞれ 、 と置くと、
(12)
(13)
(13)式を円柱の断面で面積分してやると円管中を流れる流体の流量が求まります。流量をQと置くと、
(14)
流量は円管の半径Rの4乗に比例し、長さLに反比例します。円管の形と入り口と出口の圧力がそれぞれ決まると、流量が粘性μのみに依存した値として求まります。
これをハーゲン・ポアズイユの法則と呼びます。